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急性期脳梗塞治療 tPA+血管内治療

救急外来+神経内科のメインコラボレーションと言えば急性期脳梗塞治療と止まっていない痙攣の治療でしょうか(独断と偏見ですが)。

特に急性期脳梗塞の発症時刻がおおむね3時間以内の場合(救急隊接触時すでに4時間程度経っている場合、搬送+検査で4.5時間の壁を過ぎてしまうため・・)にわかに救急外来が慌ただしくなります。

今回は急性期脳梗塞の診療についてまとめます。

急性期脳梗塞の診療は時間との勝負です。

出来る限り早く

・脳梗塞か

・tPA±血管内治療の適応があるか

を判断することが重要になります。

tPA適応時間は元々3時間でしたが、様々なStudyや知見の積み重ねを経て、現在は原則4.5時間となっています。

更に発症時刻が不明であってもMRIでDWIで高信号、FLAIRで等信号の場合、4時間以内の虚血が示唆されるため、十分にリスクを評価したうえでtPAの適応も考慮が可能となっています。

DWI/FLAIRミスマッチ(https://www.senshiniryo.net/stroke_c/11/index.html?mode=pcより)

MRIの実施については必ずしも必須ではない、と言われる場合もありますが、日本のようにMRIが容易に使える環境では多くの施設でCTに加えMRIまで行うことが多いと思われます。(ペースメーカー使用者などMRI実施困難な場合はCT+造影CT等)

tPAについては一度その効果を実感すると、適応症例には絶対に使いたい!と思わせる威力があります。

一方で脳出血などの合併症は止血の困難さから二度と見たくない・・と思わせるインパクトがあります。

適切な適応症例の見極めが重要です。

なお、急性期脳梗塞の診療においては、血管内治療についても常に念頭におくことが必要です。上記チャートに則って診療を行いつつ以下の場合は血管内治療についても検討します。

①発症前の modified Rankin scale (mRS)スコアが 0 また は 1(元々障害なし)

②内頚動脈(ICA)または中大脳動脈(MCA) M1 部の主幹動脈閉塞がある

③頭部 CT または MRI DWI画像で ASPECTSが 6 点以上

④NIHSSスコアが 6 以上(軽症でない)

⑤年齢 18 歳以上

⑥rt-PA 静注療法の適応があれば施行した症例

は原則発症 6 時間以内に血管内治療を開始することが強く勧めらています。

※さらに6時間以上時間が経過していたり、より軽症またはMCAのM2以遠や脳底動脈(BA)の閉塞でも適応になる場合があり、早期に脳外科医師に確認が必要です。

以下NIHSS、tPAチェックリスト、 mRSを載せておきます。

NIHSSについては「微妙」な判断を迫られる場合も少なくないため、1度は評価基準に関わる細かい解説を読んでおくことが有用です。

Ex) 岡山市立総合医療センターのまとめ

tPAチェックリストについては特に禁忌項目では絶対にtPAを行わないことが重要です。抗凝固薬の使用についてはまだまだ今後知見が変化する可能性もありますが、原則APTTの値や内服時間を確認し、無理をしてtPAを使用しないことが重要です。

 

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